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MOTION感性 NO.1520 令和4‐9‐20  ◆新渡戸稲造の感謝2022.09.18

NO.1520 令和4‐9‐20   
◆新渡戸稲造の感謝
25才の時ドイツのボン大学に留学していました。そこでの新渡戸は、毎日午後三時ごろ、近くの公園を散歩することを日課としていました。
ある日公園のお店でコーヒーを飲んでいると、保育士に連れられた40人の孤児たちが、公園に遊びに来ていました。ちょうどその日は新渡戸のお母さんの命日でした。そこで、追善供養の真似事でもと思い立ち、お店のおばあさんに、「あの子たちにミルクを一杯ずつ飲ませてやってください。勘定は私が支払いますが、保育士にはそのことを言わないで、この好意を受けてくれるかどうか聞いてください」と頼みました。

おばあさんが保育士にその旨を伝えると、快く了承してくれました。みんながミルクを飲み終わると、保育士は「歌をうたってお礼を申し上げましょう」と言い、40人のかわいらしい子供たちが、声を張り上げ賛美歌を歌いました。それを聞いて彼は、観孝行をしたような気持ちになりました。
そして、子供たちが帰ったあと、支払いをしようとすると、おぱあさんは半額でいいと言います。そのわけをたずねると、「私もあの子供たちに、ミルクぐらい飲ませたいと思っていたのですが、思うようにできませんでした。今日は、あなたのおかげで子供たちをたいそう喜ばすことができまして、ありがとうございました。あなたの志をたいへんうれしく思いました。実費だけいただければ、私の志もかなうわけですから…」と言うのでした。

新渡戸は「私は、年に一度の母の命日だからと思ってしたのに…」と礼を述べて下宿に帰り、お母さんの写真の前で、このおばあさんの心尽くしにも感謝したといいます(佐藤俊明著『禅語百話』講談社刊より要約)。
おばあさんの心を動かしたのは、稲造の温かい思いやりの心です。思いやりの心は、仙人を感化する力があると言います。それは彼の感謝と報恩の気持ちから出たものだけに、より大きな感化を与えたといえましょう。

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