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EMOTION感性 NO.1326 H30-10-9 ◆てんびんの詩2018.10.06

NO.1326  H30-10-9
◆てんびんの詩
「少年は涙の向こうに商いの真髄を見た」というキャッチ・コピーのついたこの映画は企画制作・鍵山秀三郎により昭和59年に制作されたもので覚えている人もあるでしょう、改めてこれを再読です、物語の内容は、

――近江の大きな商家に生まれた大作少年は、小学校の卒業祝いに、父から鍋ぶたを贈られた。明日からそれを持って商いに出て、売ってこい、それができなければ、店を継がせることはできないという。
しかたなく、大作は鍋ぶたを売りに出た。まずは店に出入りする人々に店の跡継ぎであることを強調し、思看せがましく売ろうとするが、成功しない。あるとぎは揉み手をし、卑屈なお世辞も言ってみた。あるいは乞食を真似て泣き落とし戦術も使ってみた。
しかし、どんな方法を使っても、なんの変哲もないありきたりの鍋ぶたはいっこうに売れなかった。

ニカ月たち、三カ月たっても、一つも売れない。とうとう大作の目に涙があふれた。そんなある日、とある農家の先の小川の洗い場に鍋とふたが干してあるのが目に入った。一瞬よからぬ思いが走った。(あの鍋ぶたがなくなったら、困るやるな、そしたら買うてくれるかもしれん)しかし、つぎの瞬間、いやいやこの鍋ぶたもわしのように難儀して売ったものかもしれん)と思うと、悪事を働くことはでぎなかった。そして無意識のうちに小川におりて鍋ぶたを洗っていた。

そこに農家の主婦が帰ってきて大作を泥棒と思って怒鳴りつけたのだ。大作は飛び上がるほど驚いて、主婦の前に手をついて謝った。一瞬はよからぬことも考えたが、考えを改めて洗いさしの鍋やふたを洗っていたのだと告白した。
その話に主婦は驚いて、涙を浮かべたのだ。「わしにあんたの鍋ぶたを売ってくれ!」大作はきょとんとして、主婦の顔を見つめた。

「あんたの鍋ぶたを売ってほしいのや」大作はその言葉が信じられなかった。三カ月間の苦闘が嘘のようだ。
思わず主婦に抱きついて泣いた。「いい子だ。あんたはいい子だ」泣きじゃくる大作を抱きしめていた主婦は、さらに予想外のことをしてくれた。主婦はこんな殊勝な子どもがいると近所中に触れ歩き、大作を紹介してくれたのだ。

おかげで集まった人たちに鍋ぶたは飛ぶように売れ、風呂に人っていけ、タベ寝ていないんだったら、わしの家で寝ていけという人も現れた。ものを買ってくれた人々が親身になって気づかってくれる・・・。
大作は子ども心に、商売はものを通してお客様と商人の心が結びつくことなんだと深く悟らされたのだった。――

当時の大企業では新入社員の研修では必ずといっていいほど上映されたと言われる。たとえば東京ガスでは営業の原点として全従業員に見せているし、松下電器でも系列の販売会社やナショナルショップの従業員に見せているという。第一生命保険の外交員は目をはらして、「わたしたちは社会のなかで、いかに大切な役割を果たしているかということをこの映画を通して知らされたという話があった。イエローハットの鍵山秀三郎氏着想の物語は日本人の忘れられている心を訴えたものだ・・

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